IT資産管理ナレッジ - 特別対談

IAITAM 特別対談

 

IAITAM 特別対談

マイクロソフト ソフトウェア アセット マネジメント ゼネラルマネージャー チャンタルク氏に聞く

企業のリスク & コストマネジメントにとって、
SAM (ソフトウェア資産管理) の持つ意味とは?

企業におけるコンプライアンス管理が重要になってくる中で、ソフトウェア資産管理が近年改めて注目を浴びています。これまでのように購入や契約期限を把握するだけでなく、適正なライセンス利用がなされているか、また、TCO の観点からみた投資の適正さはどうかといった経営的視点や、一方ではクラウド化によって、IT システムとのトータルな管理手法が要求されるといった変化に、企業はどう対応していけばよいのでしょうか。
IAITAMでは、マイクロソフト コーポレーションの SAM 部門責任者であるパタマ チャンタルク氏に日本と世界における IT 資産管理の現状についてお話しを伺いました。

SAM (ソフトウェア資産管理) は
いまや IT 運用部門の最重要課題

チャンタルク: 本日は、貴重な機会をいただき、ありがとうございます。
日本のエンタープライズ市場における現在のIT資産管理について、私が課題と感じている事をお話ししたいと思います。
そもそもソフトウェア資産管理= SAM について理解を深めようとすると、IT 資産全体を見渡せる知識やしくみが不可欠です。
そうした SAM の前提となる「エンド ツー エンドの資産管理」という考え方が、日本のマーケットではまだ十分に理解されていないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

武内: 日本のエンド ユーザーは、IT 運用部門にすべてを任せているつもりになっているため、システムを始め IT 資産全体についての責任感が希薄です。
また多くの企業では、調達部門が物品購入や法的な管理を一括して手がけています。ソフトウェアも例外ではありませんが、購入した後のライセンス管理は丸ごとIT運用部門に任せてしまうケースがほとんどです。
この結果、日本企業のIT運用部門の担当者は、社内のシステムや運用ツールの運用管理者であると自他共に認識してきました。当然「機器やシステム運用」の管理はできても、SAM のような契約管理などのスキルや経験は、ほとんど持っていません。ひょっとするとソフトウェアのライセンス契約自体を管理対象として提供されてもいない。そういう人たちに、新たに「ライセンス契約で合意された利用条件を順守する運用の管理」という考え方を理解してもらうのは非常に難しい。そこを変えていこうというのが、私が IAITAM (国際IT資産管理者協会) の代表として就任以来取り組んできたテーマの 1 つです。

チャンタルク: 実は私自身、2年前に現在のチームの責任者に就くまで SAM ビジネスの経験がなく、SAM というのはコンプライアンスや監査のようなものだと漠然と思っていました。日本のお客様が同様のイメージしか持っていないのは、無理もないと思います。
しかし現在は、すでに多くの SAM ベンダーが専用のツールを提供しており、SAM を学ぼうとするお客様にとっては環境が格段に進歩してきています。これは、私たちから積極的に情報提供をするまたとないチャンスでもあります。

武内: 情報提供を始め、教育は SAM を普及させていく上で重要なポイントの 1 つです。ここでは「調達部門と IT 運用部門の関係」についての理解が第一歩となります。というのも急速にクラウド化が進む今日、ソフトウェアやハードウェアは、オンプレ、プライベートクラウド、パブリッククラウドなど仮想化されマルチクラウド化されたサービス契約の複雑なジグソーパズルとなりつつあるからです。
この結果、自社のIT環境を技術的に理解しコントロールできる立場の人々、すなわち IT 運用部門がすべての IT 環境の把握、ライセンス契約で合意された利用条件を順守する運用管理を担わねばならなくなっています。もはや、調達担当者だけがソフトウェアライセンスの適正な調達を理解していれば済む時代ではありません。

マイクロソフト ソフトウェア
アセット マネジメント担当
ゼネラルマネージャー

パタマ チャンタルク 氏

国際 IT 資産管理者協会 (IAITAM)
日本支部 支部長

武内 烈 氏

マイクロソフトが発表した
SAM の新しいプラットフォームとは?

武内: 私たち IAITAM では、マイクロソフトの日本国内の SAM 分野での取り組みに対して、さまざまな面から協力していきたいと考えています。その具体的な施策の 1 つに、カスタマー教育の支援が挙げられます。コンプライアンスやガバナンスが重視される現在、SAM はエンタープライズ IT の不可欠な要件となりつつあります。
顧客が自社のビジネスをより的確な方向に進める上で、マイクロソフトによる SAM の教育への取り組みは力強い支えとなるでしょう。IAITAM がこれまで蓄積してきた知見や実績は、そこに大いに貢献できると自負しています。

チャンタルク: SAM を学ぶことは、顧客にとってのリスクの軽減や緩和、IT 投資の最適化につながらなくてはなりません。その点でもマイクロソフトの提供する SAM は、きわめて有効です。現在多くのベンダーから提供されている SAM ツールは、ソフトウェアのインベントリー収集に目的を限定したものがほとんどです。
一方、私たちは SAM をあくまでトータルなソフトウェア管理のプラットフォームとして考えています。お客様が今後 SAM を理解し、的確に運用できるようになれば、今ほど棚卸にエネルギーを割かずに済むようになるでしょう。マイクロソフトの SAM では、IT 資産の現状把握を基本としているからです。
私たちはこうした考え方に基づいた総合的なソフトウェア資産管理を提供する、新しいプログラムを発表したばかりです。今後は、このプログラムがマイクロソフトの SAM におけるプラットフォームとなっていきます。

武内: マイクロソフト SAM MSP (Microsoft SAM Managed Service Program) ですね。このプログラムは、2017 年 10 月に東京で開催された IAITAM の ACE カンファレンスでも概略が紹介され、非常に多くの方々の関心を集めていました。IT 運用部門のIT資産管理担当者が大半を占めるイベントで、これまでは調達部門の仕事と考えられていた SAM に関するプログラムが、これほどの注目を集めるのは異例のことです。この事実からも、IT 技術者が自分たちのライセンス契約やその内容について強い関心を持つようになってきているのがわかります。

チャンタルク: 私たちの期待どおりです。SAM MSP は、まさにそうした方々の関心に応え、IT 運用部門がビジネス全体を的確かつ効果的にマネジメントするための知識やノウハウを提供するものだと考えています。

SAM の教育、普及に向けて
より緊密なパートナーシップを

チャンタルク: SAM MSP をリリースしたことは、日本国内における SAM の推進の第一歩だと私たちは考えています。お客様がそうした環境をご利用になって SAM への理解を進めて行こうとするときに、学習、教育の重要なポイントをいくつか教えていただけますか。

武内: コンプライアンスにおいてビジネスの規則を順守するのは当然ですが、そのためにはまず契約の内容を理解することが必要です。つまりライセンスは「ビジネス契約」だという考え方を理解する必要があるのですが、IT 運用部門の方々はそういった考えにまだ慣れていません。ここをまず乗り越えることが必要です。
最近は DevOps のように「開発」と「運用」は密接なものと考えられてきていますが、DevOps の「運用」はあくまでシステムの技術的運用を指すに過ぎません。SAM における「運用」とは、ライセンス契約を含めた権利すべてを明確に理解し、課題を解決してビジネスに利益をもたらすことなのです。

チャンタルク: IT 技術者がそうしたテクノロジー以外の要件を学ぶには、どんな方法が有効でしょう。時間を取って勉強しようにも、ただでさえ忙しい IT 運用部門の担当者には、なかなかハードルが高いと思います。

武内: そのためにも、これからの技術者は契約条件や権利、ベンダーとの関係作りと活用方法について深く理解する必要があります。彼らの知見や教育プログラムを利用できれば、効率的に質の高い SAM の知識を得ることができます。とりわけマイクロソフトとよい関係を持ち続けていくのは、現実解としてもっとも重要なポイントと言えるでしょう。
というのも、今の世の中でビジネスが Windows を使うのをやめるという選択肢はまずありえないからです。特に日本はマイクロソフトにとって重要な市場であり、SAM MSP のような Windows ユーザーに最適化された支援、教育プログラムを望む声は少なくないと見ています。

チャンタルク: クラウド時代には、ソフトウェア資産管理はシステム運用管理と表裏一体になっていきます。マイクロソフトは、SAM MSP をそうしたクラウド時代のソフトウェア資産管理のプラットフォームとして活用していただきたいと願っています。また SAM MSP を SAM の標準とすることで、高品質で均質化された SAM の教育環境が実現できるはずです。
さらにマイクロソフトではライセンスの所有者の明確化や、IT 運用部門の SAM に関するスキルアップといった分野では、日本でもマイクロソフトの認定資格を提供するなど、積極的に取り組んでいきたいと考えています。

武内: 教育は私たちが力をいれるべき課題であると同時に、日本の市場ではもっとも難しいテーマの 1 つです。いまだに多くの日本の顧客は、ベンダーから無償で教育を受けることに慣れきっています。ここを私たちとしても、前向きに変える努力をしていかなくてはなりません。企業にとって IT が成長の原動力であるのと同様に、SAM がコンプライアンスやガバナンスの基盤であることを伝え、そこに対する教育の重要性と価値を啓蒙していくことが、私たちの大きな使命だと考えています。

チャンタルク: まったく同感です。私たちの今回のパートナーシップを通じて、お客様にとってよりよい教育環境を提供していけたらと思います。これは、とうていマイクロソフト単独でできることではありません。業界における先駆的な知見をお持ちの IAITAM を始め、さまざまな方々と協力しながら SAM の教育、啓蒙の取り組みを加速していけたらと願っています。

武内: 本日は貴重なお話しを頂き、ありがとうございました。

対談者
マイクロソフトコーポレーション
ソフトウェア アセット マネジメント担当 ゼネラルマネージャー パタマ チャンタルク 氏
Patama Chantaruck
General Manager of Worldwide Software Asset Management & Compliance
Microsoft Corporation
聞き手
国際 IT 資産管理者協会 (IAITAM) 日本支部 支部長 武内 烈 氏

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