IAITAM ACE JAPAN 2014 レポート(1)

クラウド時代のIT資産管理のあるべき姿とは

日本で初の開催となった国際IT資産管理者協会の年次カンファレンス「IAITAM ACE JAPAN 2014」。
多数のご来場をいただきました。

主催挨拶:日本におけるIT資産管理の今後 IAITAM日本支部長 武内 烈

武内 烈

開始の挨拶にかえて、IAITAM日本支部長の武内 烈より、IAITAMが考えるIT資産管理のとらえ方についてお話をさせていただきました。

IT資産管理を考えるにあたり重要なのは、「木を見て森を見ず」にはならない、すなわち全体の中におけるIT資産管理の位置づけを考えることです。

ITが企業経営にかかわるようになってからの過去50年の歴史を振り返ると、その形は市場が求めるものに合わせて変化しています。
その理由は、IT部門が対応するユーザー部門は変化する市場に商品やサービスを提供しており、必然的にその要求は市場と合致するからです。

どこに向かっているのか?

求められているのは、市場ニーズに対応する変化対応力とダイナミックにリソースを割り当てられるリソースプールを持ち、内部の複雑性をユーザーからは隠ぺいするサービスモデルです。
海外では実際にサービスモデルとサービスマネジメントが受け入れられつつあります。

IT部門はユーザー部門に対してITをサービスとして提供します。
サービスモデルにおけるIT資産管理とは、製造業におけるBOM(部品表)管理に例えることができます。
BOM管理ができていなければできあがる製品の品質保証ができないように、IT資産管理ができていなくてはサービス品質が保証できなくなるのです。

そしてIT資産管理は、IT部門だけでは完結しません。
バラバラにサイロ化されたツールやシステムをIT資産管理の観点から統合し、全体最適化を実現することが大切です。
そして、IT資産管理におけるロードマップは、あるべき姿を設定したうえで段階的導入計画を立て、取り組んでいく必要があります。

ロードマップの作成

あるべきIT資産管理の姿を目指して、ともに皆さんと歩んでいければと考えております。

基調講演:企業を取り巻くIT環境のパラダイムシフトとIT資産管理 あらた監査法人 システム・プロセス・アシュアランス部 パートナー 岸 康弘氏

岸 康弘氏

続く基調講演は、企業をとりまくIT環境の変化により引き起こされたIT部門の役割変化とIT資産管理の再定義について、あらた監査法人の岸 康弘氏よりご講演をいただきました。

ビジネスの世界でコンピューターが使われ始めて50年、その間IT部門は「情報システムを企業内で役立てるためにシステムを開発する」部署として存在してきました。
しかし今後は違うものを期待されています。このパラダイムシフトを支えるためにIT資産管理は重要です。

51.9%の企業が収益性向上を経営課題として考えており、22.2%の企業が新製品・新サービス・新事業の開発を5年後の経営課題と考えています。
一方のIT環境は、クラウドコンピューティング市場の成長やタブレットの普及、BYODの取り組みなど大きく変化しつつあります。

そのような中IT部門の役割は変化しており、システム開発と補修を中心とした受け身の体制からユーザーへの主体的ソリューションとグループ全体最適化が求められるようになっています。

また、ITそのものは内製化から調達によるアウトソーシング管理が必要となっています。
すなわち、組織の中核、ハイパフォーマンス集団としてのIT部門が求められているのです。

求められる役割を果たすには、「IT業務におけるコア業務とノンコア業務の切り分け」「IT部門の組織、人材改革」「IT部門の経営参画」の順でIT部門が変わらなくてはいけません。
そのために重要になるのが、ビジネスを分析するためにITをどう使えば良いかを考えること、そしてアウトソーシング・クラウド管理技術の確立です。

その中でIT資産管理は、ITAMプロセスとして、ITに関するコストとリスクを低減しつつ、IT資産の調達から廃棄までのライフサイクル全体を追跡管理し、コストを最適化するという役割を与えられます。
「適切な管理ができてば25-30%のコスト削減が可能」「コンプライアンスの観点からライセンス監査を受けても問題がないようにすること。
違法ソフトの使用は米国への商品輸出入差し止めなど大きなビジネスリスクとなる」とその重要性を指摘されました。エンタープライズアーキテクチャ構築にIT資産管理が役立っているのが最もストラテジックな状況となります。

IT資産管理の目的は、IT資産を可視化し、組織の経営戦略に合致するようにIT関連支出、人的資源、リスクおよびIT資産を管理・運用することにあります。IT資産管理は、段階を踏んで整備することで、最終的に企業に対して、コスト削減、コンプライアンス、セキュリティ強化などの大きな利益をもたらします。
現在起こっているパラダイムシフトは、IT資産管理によって企業のITをよりビジネスにインテグレートするものになります。

特別講演:『クラウド時代に最適化した<IT資産の運用管理>とは』 日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 西脇 資哲氏

西脇 資哲氏

日本マイクロソフト業務執行役員の西脇 資哲氏の特別公演では、冒頭にOffice365の紹介を通して「働き方」が変わっていることを紹介し、新たな働き方を実現するためのIT資産管理のあり方についてお話いただきました。

仕事に3台以上のデバイスを使用する人の割合は52%と半数を超えています。
PCだけでなくスマートフォン、タブレットなどデバイスが多様化し、接続形態も多様化することが、会社のITに影響を及ぼします。
デバイスの多くは個人所有であり、その動きは止めることができません。中でも3万円以下のデバイスの数が1年で6倍に急増しています。

この流れに対応した働き方は「決まった時間・場所・デバイス」から、「いつでも、どこでも、どんなデバイスからでも」となります。
IT部門がIT資産管理をすることで、上記を実現しつつコストを削減しセキュリティも守ることが可能になります。

ITコストに占めるクラウドの割合は45%を占めています。
プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方が常に存在して連携するハイブリッドクラウドの時代が来ています。
WindowsやOfficeをサービスとして利用することで、どんなデバイスからでもWindowsとエクセルを利用できます。ライセンスの意味は「ソフトウェアをインストールする権利」から「サービスを使用する権利」に変わります。
会社から支給されていない個人のデバイスで、クラウドのサービスを利用して、クラウド上のファイルを使用する時代には、ライセンスの考え方を変えなくてはいけません。

新しい考え方を取り入れることで、デバイスとクラウド上のサービスが密接に連携し、在宅勤務者が会社で使用している環境をそのまま利用して、ファイル共有や共同作業に参加することができるようになります。
これからのIT資産管理は、ユーザーがどのデバイスでサービスを使うのか気にしない、ライセンス管理がベースとなります。
マイクロソフトのOffice365は、利用者に対してサブスクリプション(利用する権利)を渡します。今の時代にあったライセンス形態で、今の時代にあった働き方を提供できます。

社内ネットワークに接続される端末は個人所有のものも含まれるため、OSのバージョンもインストールされているソフトもIT部門が管理することはできません。
セキュリティポリシーはルールベースで運用して接続時に確認適用する仕組みが求められます。

ワークスタイルを新しくするためには、クラウドやモバイルを意識したIT資産管理が重要になるのです。